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哲人の収斂

2023-01-16

哲人の収斂

凄寥の空気感の中、
たった一人で食を楽しむ哲人

テーブルには黒い皿
そこに、良く冷やした一丁の豆腐

豆腐に葱と生姜をのせ、
仕上げに微量の醤油

哲人は、
一丁の豆腐を一時間かけて食する

一時間という時空間
この時空間は、単なる食の時空間ではない

この時空間は、哲学するための時空間
哲人は、たっぷりと時間をかけて豆腐を食し、
理性で葱を噛む音を聴き込み、
噛む音を介して、一つひとつの課題を咀嚼し、哲学する

生姜は、豆腐を食の礎とする哲学の時空間を鋭敏にさせ、
哲人を、収斂の世界へと導いていく

収斂は、甘味の世界か、
それとも、苦味の世界か

普遍的境地において、
苦味は、甘味を超越する

哲人は、自らの血を流しながら、苦味の境地を何度も経験する
そこには、何のためらいもない
たった一回のためらいさえない

哲人の周辺を良く見渡しても、
ためらいの”欠片”さえない

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